今年も夏が近づいてきた。
夏というと、戦後30年後に生まれた者でありながらも、私の中ではどうしても「戦争」を思い出してしまう。そういうわけで久しぶりに、「バンド・オブ・ブラザーズ」のDVDを再見した。 改めて、重要な作品だと感じた。 スピルバーグとトム・ハンクスの懐の広さを感じた。全10話と長いが、それだけの価値はある。 現在 TSUTAYA では旧作100円レンタルを行っているので、全部借りても1000円。圧倒的に安い。 未見の方は、欧州戦線 の現実を知るためにも、ぜひとも見ることをお薦めしたい。(もちろん欧州戦といえば「プライベート・ライアン」も忘れてはならない)。
さて、Wikipedia で何気なくこの作品について調べた所、何と、スピルバーグとハンクスという同じコンビで、今度は太平洋戦線を扱ったシリーズが、今年になって作られているのだというではないか!
ザ・パシフィック [WOWOWオンライン]
これは期待大である。 バンド・オブ・ブラザーズの出来から見て、相当に力を入れて作りあげてくるに違いない。 しかも、今回は日本兵だけでなく、アメリカ兵の残酷さも正直に描いている、という。 とりあえず WOWOW でしか見れず、DVDが出るまでは指をくわえてみているしかないのが相当に悔しいが、これはぜひとも見てみたい作品である。 そして自国の歴史さえ殆ど知らないわが同胞にもぜひ見てもらいたいものである。
私は戦争映画をよく見る。 TSUTAYA の戦記物コーナーにある作品のうち、半分以上は見たのではないかと思う。 なぜ見るかといえば、歴史を知るという観点もさることながら、最も大きな理由は、「人間の罪の現実を正気に見つめ、心に刻みつけるため」である。
私たちの社会では、「衝撃的な事件」とやらが時折メディアを賑わせる。 それを見て私たちは物騒な世の中になったと不安になったり、道徳の荒廃だ危機だなどと叫んだりする。 しかし、いかなる事件も、戦場で過去に起こったこと、また今現在起こっている事に比べれば、その比ではない。 戦場の狂気に比べれば、どのような凶悪事件も色褪せて見える。 平和な世界では、そのような人間の罪の現実が、ある意味では氷山のように水面下に隠れており、私たちはその一角を見ているに過ぎないのである。
戦争は、氷山の本体を人々の目に見せつけるものである。 だからこそ、私たちはその現実を知る必要がある。そうでないと、誤った判断、誤った楽観主義に陥ってしまうだろう。 昔と違って、最近の戦争映画は「リアルさ」をかなり前面に押し出してきている。見る人によっては、正視に耐えない光景が繰り広げられることになる。特にベトナム戦争ものにその傾向が強い。
けれども、忘れてはならないのは、それが人類の現実だということである。
その現実を直視しないで避けている者は、必ずまた同じ過ちを繰り返す。
それが、歴史の与える教訓である。だから私は戦争映画を努めて見るようにしている。
「これが人間だ、このような狂気が、私のうちにも宿っているのだ」。
そう認められるなら、パウロの次のことばが生きて働くものとなるだろう。
「そういうわけで、私は、善をしたいと願っているのですが、
その私に悪が宿っているという原理を見いだすのです。
すなわち、私は、内なる人としては、神の律法を喜んでいるのに、
私のからだの中には異なった律法があって、
それが私の心の律法に対して戦いをいどみ、私を、
からだの中にある罪の律法のとりこにしているのを見いだすのです。
私は、ほんとうにみじめな人間です。
だれがこの死の、からだから、私を救い出してくれるのでしょうか。
私たちの主イエス・キリストのゆえに、ただ神に感謝します。
ですから、この私は、心では神の律法に仕え、
肉では罪の律法に仕えているのです。」
(ローマ人への手紙7章21~25節)
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