昨年末にメインのPC環境をMacに移行してから、徐々に常用ソフトの移行先ソフトを検討してきました。私の書斎には1500冊程度の蔵書があり、これを管理するシステムを必要としていたのです。Windows時代はフリーソフトの「私本管理」を愛用してきましたが、Macでは、数こそそれなりにあるものの、なかなかじっくりと評価する時間がありませんでした。このたびやっと評価を行う事ができ、ようやく決まりました。「Bookpedia」です。以下、今回の検討において重視したポイントは以下の通りです。
- iSight(Facetime内蔵カメラ)またはiPod Touchの内蔵カメラを使用してバーコードスキャンを行い、大量の本を効率よく登録できること。
- 登録した書物をクラウド又は同期によってiPod Touchで持ち運びできること。できればiPod Touchで登録も行えること。
- Amazonにない古い書籍やISBNを持たない本でも自由に登録できること。
- 有料ソフトでも良いが、できるだけ安いこと。
- できればタグが追加できること。
以上の条件で、以下の7つの環境について、それぞれ評価を行いました。以下、概要と寸評を載せておきます。
- Delicious Library2
Macの有料アプリ。画面デザインは書棚を模すなど美しい。このソフトのウリは、iSightによるバーコード認識精度が素晴らしいこと。ほぼどのような本でも少しかざすだけで認識する精度は特筆もの。欠点としては、値段が高いこと、iOSアプリが無いこと(以前はあったが、Amazonの規約の関係で現在は無くなっている模様)、タグが利用できないこと。 - Booxter
Macの有料アプリ。画面デザインが余り美しくない。iSightによるバーコード認識をどうすればできるのかがわかりにくい。認識精度も紙質や照明、角度で激変するなど、使いにくい。 - Bookpedia
これもMacの有料アプリ。一通り環境も揃っており画面も美しい。タグも追加可能。iSightによるバーコード認識は、照明や角度に左右され認識精度があまり良くない。特筆すべきは、Pocketpedia3というiOSアプリを購入すれば、同一ネットワーク上にあるiPod TouchをMacの外部カメラとして利用することができ、自動でBookpediaに登録できる機能があること(2012年10月のアップデートで搭載された模様)。そして、そのPocketpedia3のバーコード認識が精度が極めて高いのも好印象(但し二段あるバーコードの下段を指で隠す必要はあります)。さらに、バーコードスキャン→登録のために一切のタップを必要とせず、母艦Macからの「ピロン」という音だけで判断でき、大量の本を極めて効率よく登録できる。正直な所、このスピード感は、他のアプリでは決して実現できないところ。 - Books for OSX
Macアプリの中では唯一、無料のソフト。iSightによるバーコードスキャンも搭載しているが、試したところ機能しなかった。開発も3年前に停止しており、将来性を考えると手を出せないソフト。 - MediaMarker
無料のオンラインアプリを中心とするサービス。カスタマイズのしやすさ、TwitterやEvernoteなどの外部サービスとの連携も素晴らしい。無料のウェブサービスでありながら、自分の本棚を「非公開」にできる点は極めてポイントが高い。さらにiOSアプリも無料であり、バーコードスキャンも行える。また、Amazonにない独自の書物も登録して管理できるのは素晴らしい。唯一の問題は、このバーコードスキャンの精度が低いこと。手元の100冊程度の本で試したところ、30~40%は認識に失敗し、手でISBNを入力する羽目になる。これさえ改善すれば、非の打ち所のないサービスになる。 但し、広告もない無料サービスなので、将来に向けた事業の継続性が「?」なのがマイナスポイント。 - ブクログ
MediaMarker同様の無料のオンサインサービス。無料iOSアプリも存在し、比較的使いやすい。バーコードスキャンの精度はそこそこ。このサービスは、無料アカウントの場合、自分の書棚が強制的に公開されてしまうのが難点。非公開にするには毎月500円を支払ってプレミアムアカウントにする必要がある。これが高すぎる。蔵書管理に毎年6000円も出そうという人は、そういないだろう。せめて月100円なら考えたのだが。独自書籍を登録できないのもマイナス。 - 読書メーター
ブクログのライバルで、やはり無料でオンラインサービスを提供している。こちらは、ブクログに比べ、自分の蔵書のレビューや評価をより積極的に公開していこうという意図がうかがえるサービス。そのためかレビュー記事数はブクログよりも圧倒的に多い。但し、ただ蔵書管理が出来れば良いという私のようなユーザーには、むしろ面倒に感じる。さらに、iOSアプリの出来が余り良くなく、バーコードスキャン→登録の繰り返しに必要なステップ数が多すぎて、大量の本を登録するのに時間が掛かりすぎるのも難点。このサービスも、独自書籍を登録することができない。
以上を総合的に評価すると、Mac版Bookpedia+iOS版Pocketpedia3という組み合わせが、現時点で最強の蔵書管理システムである、と結論づけました。
…ともあれ、蔵書管理の目的は人によって異なっているのも事実です。私は、大量の本を効率よく管理する、という点を重視しましたが、レビューを重視する方もいるでしょう。そういう方はメディアマーカーや読書メーターがお勧めです。
コメント
試しましたが、どうやらできないように思います。
…Pocketpediaは、あくまでも、MacのBookpediaに書籍を登録するためのデバイス、そして登録した蔵書データを持ち歩いて参照するための位置付け、と割り切った方が現状は良さそうです。(将来のアップデートで対応するかも知れませんので、その辺は分かりません)。
元記事の意図は、iOS単独でではなく、あくまでも「Macにおける」蔵書管理ということですので、悪しからずご了承下さいませ…。
すいませんが、教えてください。
pocketpediaでamazon.jpの検索できます?
macのbookpediaはamazonアフィリエイトみたいなののシリアルキー?を登録したらできたのですが。
これさえできれば仰る通り最強の組み合わせなので惜しいなと。
コメントありがとうございます。手元のiPod Touch 5thで確認致しましたが、日本語での書名検索ができました。OSのバージョンはiOS7です。地球マークを押して「日本語かな」に切り替えると、フリック入力で日本語が普通に入力できます。お試し下さい。
なお、iPadでも試しましたが、こちらは確かに日本語キーボードそのものが選べないようになっていますね。英語キーボードで決め打ちになってしまっています。…ただ、その場合でも、他のアプリからコピペすると、正常に日本語の書名が検索できました。ですので、アプリが日本語での検索に対応していないという訳ではなく、日本語の入力に難点がある、ということですね。これは改善をリクエストした方が良さそうですね。時間があれば、開発者にメールしてみたいと思います。
iPhoneアプリで検索することがこれまで余りなかったので気がつきませんでした。ご指摘ありがとうございました!
お世話になります。
早速BookpediaとPocketpedia3をインストールしました。
しかし、iPhoneアプリのPocketpedia3では日本の書籍は検索できないようなのですが。
上のコメントにお返事致します。
iTunes上の表示は見ていませんが(私はアプリを購入するときに英語版か日本語版かはあまり重視しませんので)、少なくともこれまでに1000冊以上の日本語の書籍を何の問題もなく登録・運用できております。Amazon.co.jpを使ったバーコードスキャンによる日本語書籍の自動登録も同様です。
ご指摘のように英語のアプリなのでメニュー項目などは、当然ながら英語のままです。ですので、英語はどんなものであれちょっと…という方は避けた方が宜しいかも知れません。ただ、平易な英語ですので個人的印象としては、恐るるに足らず、と考えてはいます。
Booksとの比較ですが、それはもう、Bookpediaの方が使いやすいと思います。そもそもBooksは開発終了したソフトウェアで、Bookpediaは定期的にMacAppStoreでアップデートが掛かるなど、精力的なバージョンアップが続けられている現在進行形のソフトウェアですので…。
ただ、使いやすさ、というものについては多分に主観的な要素があること、そして私はBooksを多少触ってみただけで、常用した経験はありませんので、これについては確たるところは申し上げられません。「使ってみて頂いて確認して頂く」しかないかと思っております。
以上お返事まで。
Booksを長く使用して来て、たまたまアップデートをしたら、サイトには非接続。
それで、ここに。
Mac版BookpediaのiTunesの情報を見たら、日本語での使用ができないようです。
その点の指摘がありませんが、どうですか、またマニュアル含め、英語でしか対応していないようですが、使用方法は、Books同様に簡単ですか。
もったいないコメントを賜り、ありがとうございます。Macで何とか効率の良い蔵書管理を、とあれこれ試行錯誤した結果にすぎないのですが、こんなに喜んで頂けるとは予想外でした。お役に立つことができまして、光栄です。Macの読書ライフが、さらに充実していかれますように〜!
ここに書かれている通りの組み合わせ(Mac版Bookpedia+iOS版Pocketpedia3)で試しました。結果は・・間違いなく最強の組み合わせです。まだ200冊程度しかスキャンしていませんが、驚異的な速さです。このブログにたどり着く前は、安価な接触型バーコードリーダーを使ったアプローチを検討していましたが、接触型でも3000円はしますので、それなら、Bookpedia(2000円弱)+Pocketpedia(350円:iPhone 4Sで使用)のほうが単純に安いし、早いし、素晴らしいアプリを開発されている方たちをサポートできるし、これほど賢い買い物をしたのはいつぶり?という感じです。また自分のゴールを達成するためのシステム要件を明確にし、客観的にさまざまなオプションを網羅的にテストし、それに基づいた結果をこのようなかたちで惜しげもなくシェアできる管理人さんに深く感銘を受けました。ありがとうございました。大切な蔵書コレクションをリスト化したいとお考えの方は、ぜひこのBookpedia+Pocketpediaという最強コンビをお試し下さい。