普天間問題についての雑感

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これまたホットなissueであり、メディアに取り上げられないことは無いほどですが、なかなか興味深い視点を得られる記事を読んだので紹介したいと思います。

【佐藤優の眼光紙背】鳩山内閣の崩壊は誰の利益に適うか? [BLOGOS]

著者の佐藤優氏については、私は必ずしも全面的に信頼できる人とは思わないのですが、少なくともこの記事の中で彼が主張していることは正鵠を射ていると、現時点で私は思っています。

その彼の主張をかいつまんで要約するならば、

「今の日本は総じて沖縄問題をこじらせた責任を鳩山首相一人に負わせ、彼を退場させることで、沖縄問題にフタをしようとしている。しかし、もはやそのような段階ではない。鳩山総理は、沖縄人のアイデンティティに火をつけた。そして本土人である私たちは、『なぜ沖縄だけが基地を負担しなければならないのか』という正当なる訴えを突きつけられている。そこでこの問題の取り扱いを誤れば、沖縄に再び独立論が起き、沖縄も含めた日本の統合、という根幹を揺るがす事態に発展する可能性がある。事はそこまで来ている。私たちはいま、日本全体として基地をどう受け止めるのか、ということを真剣に考えなければならない時期に来ているのである。鳩山首相一人を退陣させて済む問題ではないのである」。

ということになるでしょうか。太字の部分は、私が特に共感した部分です。そうなのです。「鳩山首相が勝手に問題を複雑にした」という論調が、あらゆるメディアに満ちあふれていますが、事はそんな単純な問題ではないのです。問題は、マグマのようにあったのです。ただ、歴代の自民党政権は、その問題を正面からとらえず、振興策というアメで誤魔化してきました。そうして、本土人である私たちも「当事者意識」を持つことがないまま、60年以上もの年月が経ったのです。

いま、私たちはそのような無関心、無意識の非を、沖縄の人々から突きつけられているとも言えます。この記事が指摘しているように、鳩山首相一人をスケープゴートにして、この問題に再びフタをするような真似は、もはやできないでしょう。そこで、私たちは考えなければならないのです。日本中の誰もが『うちの町には要らない!』と、言うような施設が、果たして本当に必要なのか、という根源的な問いを。答えはもうでているでしょう。「要らない」のです。誰もがそう思っている。言うなれば、アメリカ軍基地というのは「裸の王様」なのです。だれもがおかしい、だれもが要らないと思っている。けれども、正面切っては誰も言わない。かえって、「周辺国の脅威」「日米同盟の重要性」という美名のもとに、腫れ物に触るようにおだてあげている。それが現状ではないでしょうか。

その意味で、「現政権はこの国がどうしても直面しなければならない問題を突きつけた、という点で後世の歴史家から評価されるだろう」という指摘も、すでにネット上には上がっているほどです。もちろん、記事中にも指摘されているように、鳩山総理の持っていき方、プレゼンテーションの仕方には、大きな疑問を感じざるを得ません。しかし、そのような表層的な事柄だけに目を奪われるのではなく、この問題の深層に目を向けるべきだと、私は思うのです。ただ批判するだけなら、誰でもできます。

私たちは、この問題をまず、遠くで起こっている絵空事ではなく、また首相一人の責任などと問題を矮小化することもなく、自分が向きあうべき問題として、当事者意識をもって捉えるところから始めていこうではありませんか。

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