今さらの感がありますが、100円レンタルキャンペーン実施中のツ○ヤで借りてきた「ゲド戦記」を見ました。 なにしろ余りにもみた人の評価がひどかったため、とても新作 or 準新作の時期には借りる気が起きず、今になってしまったというわけです。
すでにこの映画については星の数ほど批判・賞賛含めてネット上に溢れているので、評論家めいたことは書かずに、私が感じたことだけを書きます。
観た後の第一印象は、「とにかく暗い」。 ところどころに明るい場面もあるのですが、通奏低音のように虚脱感が流れています。徹底的にダークな色彩の映画に感じました。
そしてもう一つ気になったのは、「登場人物の声が小さすぎる」。正直なところ、何を話しているのか分からないくらい小さい場面がありました。BGMは比較的大きいのですが、かといって小さい声に合わせてボリュームを上げるといきなり大音響になります。そのため観ている最中に何度もリモコンで音量を調整させられました。
第三の点。 それは「主人公が誰なのかわかりにくい」。映画のタイトルが「ゲド戦記」なのですから当然ゲドが主人公なのかと思いきや、実際は違います。 まぁ、ジブリ作品は主人公が複数いるのが普通なので、これはこれでいいのかも知れませんが、だったら「光と闇の物語」とか、中性的なタイトルにしておけば良かったかと思います。そもそも日本人であれば、「ジブリ作品」というだけで見に行こうかという気になる人が多いのですから、タイトルは何でも良いと思うのです。
ただ、悪い点ばかりかと言えばそうでもありません。 とにかく絵が美しいです。息をのむほど。 そして音響。 これまた素晴らしい。 これだけでも私は観た甲斐があったと思うのです。 「映画はストーリーが命」とは良く言われますが、いくらストーリーが良くても絵がひどければストーリー以前の問題です。 その意味で、この映画は「芸術」としての価値を確かに持っていると思います。 ですから、全体としては、「まぁ、観て良かったかな」という印象です。 映画館で観ても悪くなかったかなとさえ思いました。(絵と音が素晴らしいので)。
ただ、「ハウル」以降のジブリ作品は、ポストモダンの社会へのアンチテーゼなのだと思いますが、政治的メッセージ性が余りにも前面に出すぎていてお節介 and 大作を短時間の作品に凝縮しすぎて訳が分からない、という問題を抱えているように思います。 わたし的には、「ラピュタ」くらいの暗示的なメッセージの方がはるかに聴衆に訴えるのではないかと思いますね。 これは、説教者である私にとっても教訓です。「メッセージ性を前面に出しすぎるとこうなる」という良き実例です。
かくなる上は、まだ見ていない「ポニョ」に期待したいと思います。
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