Androidの将来を考える

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Androidが売れています。

 

米国ではもうとうの昔の話ですが、先日、日本でもついにiOSをシェアで抜いた、というニュースが流れてきました。今後もこの傾向はさらに拍車がかかるものと思います。ただ、これは当然のことでもあります。一社独占のiOSと、複数のメーカーが競うようにして端末を製造するAndroidとでは、初めから勝負になりません。ですから、私にとってはこのニュースは「new」でも何でもなく、当然の結果だと思うのです。

 

Appleにとってはシェアが低下することはこの状況は全然問題に思わないでしょう。向いている方向が異なるからです。そして、シェアの多寡が製品としての「質」と必ずしもイコールで無いことは、Macを見ればよく分かると思います。

 

私はWindowsユーザーでありながらiPod TouchとiPadを使う(予定)という、いわば「ねじれ」たユーザーですが、正直なところ、Windows機がセキュリティ維持と、初期導入教育(これは本稿の範囲を超えますが)に余りにもコストがかかることに少々疲れてきているというのも事実です。Windowsマシンをウィルス対策ソフトを入れないで使う、という状況はほとんど考えられない愚かな行為とされています。ところが、Macでその手のソフトを入れている人がどれだけいるでしょうか。あまり聞いた事がありません。

 

同じ事が、実はAndroidとiOSの関係にも言えます。Androidは、ウィルスにやられる可能性がiOSに比べて非常に高いOSだと言えます。なぜなら、Android機に入れられるアプリケーションには「審査」というものがないからです。どんなソフトでも自由にダウンロードして自由にインストールできます。これは、iOSではJailbreakという保証外の行為をあえてしない限り不可能な行為です。iOSアプリは、Appleの審査を経ない限り登録できません。そして、iOSアプリはAppStoreを経由しない限り、インストールできません。二重の防御策があり、ウィルス混入に対してはかなり強固な防御態勢を持っていると言えましょう。

 

決定的に違うのは両者の背後にある「思想」です。すなわち、Androidは「完全な自由」であるが、iOSは「制限付きの自由」をそれぞれ指向している、ということです。別の表現をすれば、Androidは「無法地帯とも隣り合わせであるがどこにでも行ける」というのに対しiOSは「安全地帯の中でしか移動できない」ということです。

 

リベラルな人々は、iOSのような「制限」を嫌います。このため、Androidを好む傾向があると言えます。「好きなアプリは何でも好きに入れさせてよ」。これが彼らの考え方です。私も、共鳴する部分が多くあります。実際、PCの「ウリ」はそういうことでしょうし、だからこそ私もWindowsをメイン機としているのです。「アプリ選択の自由」を重視して。

 

これだけ見ていると良いことばかりに思えますが、重要なのは、「Androidの自由は自己責任における自由」だということです。自分の身は自分で守らなければならない。怪しいアプリか、そうでないかを判断するのはユーザーであるあなたの自己責任にかかっており、そのためのスキルを磨く必要がある、ということです。

 

私は、このことは携帯電話やタブレットデバイスのような、PCに慣れていない人も使うカジュアルなデバイスにおいては、かなりマイナスポイントになると考えます。今までの日本の携帯電話で、ウィルス対策ソフトを入れないと危ない、などという電話機は聞いた事がありませんでした。ですからAndoridに移行したユーザーも、そのような発想は基本的に持たないでしょう。彼らは「携帯電話」を購入したのであって、「PC」を購入したとは思っていないからです。

 

ところが現実は違います。Androidは「PC」なのです。れっきとした。JobsはこのことをiPad2の発表会で痛烈に皮肉っていましたが、単なるジョークでもないのです。つまり、PCである以上、Android機は

 

ウィルス対策ソフトを入れないと危なくて使えない携帯電話

 

なのです。実際、カスペルスキーやトレンドマイクロ等、PC向けのセキュリティソフトベンダーは、こぞってAndroid用のウィルス対策ソフトを発表しています。今でこそ無料の物が多いようですが、いずれ有料化されるでしょう。もちろん無料ソフトも出るでしょうが、余計な広告がでることになる。そうすると、Android機は、パケット代に加えて毎月ウィルス対策ソフト代も払うというコストがかかることになります

 

しかし、PCと違って携帯電話は、まさしく個人情報の塊と言えましょう。しかも、それを使う人は中高生、ことによると小学生など、PCよりも遙かに低年齢層です。そういう世代にとって、ウィルス対策ソフト云々の話は余りにも敷居が高いように思います。彼らが誤って不審なアプリを入れる可能性は、かなり高いと言えるのではないでしょうか。

 

ですから、Android機は、このあたりの対策をしっかりやって貰わないと、恐ろしくて使う気になれない、というのが現時点での私の印象です。

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