錯視を楽しむ

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今日は偶然ですが,

66 Optical Illusions &
Visual Phenomena
http://www.michaelbach.de/ot/index.html

というサイトを見つけました。66種類もの,さまざまな「錯視」を楽しめるサイトらしいです。
早速幾つか見てみました。

「絶対騙されないぞ!!」

と意気込んでも・・・ダメでした。人間の視覚認知機能がいかに「生体的」であるかを改めて知りました。
普段,自分の目がこのような錯視を起こしながら,違和感なく生きていけるなんて,本当に素晴らしいことではないでしょうか。

ちょっと話題がそれますが,私が大学時代に所属していた研究室には,人間の様々な「認識機能」
を研究していました。たとえば私は音声認識をやっていたわけですが,同級生の一人は目のこと,とくに「注視点」
を計算機でモデル化しようと研究していました。人間の目は普段,見える全てのものを処理しているように我々は思いがちですが,
実際は注視点というポイントの周囲のごく狭い範囲しか,焦点はあっていません。注視していない場所の情報は,ぼやけており,
情報量が圧縮されています。人間の脳は,注視点の周りの情報のみに処理対象を絞ることで,リアルタイム処理を可能にしている訳です。

でも,「バカ言うな,ちゃんと全体がくっきり見えてるじゃないか」と思うでしょ? それが錯覚です。
 でも,超高速で注視点を移動しながらくまなく全体を見る機能も,ちゃんと目には備わっています。しかもピント合わせは一瞬。だから,
「ジロッ・・・ジー・・おぉ,見えた」なんて,ビデオカメラみたいなことをしないで,ちゃんと見えるわけです。それに不思議なもので,
本や新聞をパラパラと読んでいて,注視していないはずの,視野の端っこにあった文字を「見えた」と感じることって,ありません? 「あれ,
いま○○という文字がどこかにあったような・・・えーと・・あった!」という感じで。 注視点の周辺の情報をメインで処理しつつ,
粗い解像度の周辺視野の情報も,並列的にそれなりの精度で処理されているという,このすごさ。

「視野の注視していない場所の情報を犠牲にしてでもリアルタイム処理を優先し,同時に周辺も落とさない」

という設計思想の素晴らしさ。神様の知恵は計り知れませんね。

しかも人間の視覚情報システムと同じものをコンピュータで作ろうとしたら,熱暴走が心配です。
電力も500Wは軽く使うでしょうね。人間は有機物と水だけで「作動」し,しかも年がら年中35~36度に保たれているという・・・。

すごすぎ,です。

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