いちF1ファンとして、ついに、来るべき日が来たという印象を感じるニュースが飛び込んできました。
トヨタ F1撤退を4日に発表か – GPUpdate.net Formula 1
ホンダ、ブリヂストンに続き、トヨタまでもが、F1から今期限りで撤退するようです。
すでに中島一貴も今シーズン限りということが発表されており、トヨタの第三ドライバーとしてラスト2戦に出場した小林可夢偉だけが可能性だったのですが、その可能性もこれで潰えました。
振り返ってみると、私のF1への思い入れは大学時代、ミハエル・シューマッハーがフェラーリに入った年からだったと思います。激遅の赤い跳ね馬を何とか手なずけて、弱小チームに成り下がっていたフェラーリに最大の黄金時代をもたらした皇帝・シューマッハ-。
彼の傲慢さや、過剰なまでに勝負にこだわる姿勢は賛否両論ありましたが、私は彼以降、真の意味でのワールド・チャンピオンはいないと思っています。そして、シューマッハ-が引退して以降、私のF1への興味も急降下し、今ではレース結果すらほとんど見ない始末。今シーズンも、「あ、バトンいつのまにチャンピオンになっていたんだ」という感じでした。
私の中でのF1の全盛時代は、1996~1999年頃だったかと思います。毎月、「F1グランプリ特集」を購入し、プレステの “F1 Racing” を購入し、深夜放送のF1を見て、知人のF1好きな方々と熱く語り合ったものでした。それが、いつの間にか冷めてしまっている・・。人間、こうも変わるものかという印象ですね。
ではなぜ興味を失ったのか。最大の理由は、シューマッハーの引退であることは間違いないですが、それ以上に、
・毎年のように激変するレギュレーション
・主要チーム間で交換トレードのように入れ替わるドライバー陣
・みんな同じ形でオリジナリティが見られないレース車両(F310Bは格好良かった)
・単調なコースレイアウトのコースが増えたこと
・フジテレビの中継でT-スクエアのテーマソングが B’z の訳の分からない曲に変わったこと
・ホンダが撤退したこと
・F1について熱く語り合う仲間がいなくなったこと
・・等々、理由は色々あります。そもそも私は、「セナ・プロスト時代」にはF1に興味が全くなかったのに、その後、F1にはまったという、ある意味珍しい人間だと思います。あの時代は、今ビデオを見ても、ワクワクするような時代だったと思います。あの時代を知っていれば、もう少し違ったのかも知れません。そして先日の「ブリヂストン撤退」に続き、今日の「トヨタ撤退」の報道。来シーズンは、レース結果すら、見なくなるかも知れません。そんな気がします。
そもそも、この経済危機の時代に、百億単位のお金をかけて、同じコースをぐるぐると100週も走り、ガソリンをがぶ飲み(F1はリッター3kmくらいと聞いたことがある)する。F1が、時代に合わないスポーツになってきているようにも思います。だからホンダもトヨタも撤退したのでしょう。賢明な判断だと思います。いまどき、F1に出ていてカッコイイから、という理由でクルマを買う人など、殆どいないでしょうし。
2010年は、モータースポーツ全体が、岐路に立たされる年となるかも知れません。
コメント
トヨタは、参戦当時から力不足だったのは、致し方ないと思っていました。最初はどのチームも必ず弱いものです。ホンダもBMWもルノーも、10年も空けてしまえば次参戦するときは三流チーム同然になるほど、腕がなまりますから。
ただし、私はトヨタだったら本気でやれば4年で、シーズン優勝をなれるほどのチームになるのではないかと思っていました。大体ホンダがそんな感じです。
しかし、忘れてはならないのは、今日の朝日新聞をご覧になったかどうか分かりませんが、ホンダは1960年代から3回、F1にチャレンジしています。1回目は今のトヨタみたいなものでしたが、2回目はマンセル・ピケ、セナ・プロの状態までのし上がるのにあまり年数が掛かっていません。それは1960年代の経験があったからと思われます。
トヨタは今回、全くの初参加、丸腰状態ですから、私の目論見の4年では無理だったのかも知れません。
F1はリッター3kmも走るんですか?。軽いので可能性がありますが、それだったら、私が前乗っていたスカイラインとあまり変わらない数値です。
まあ、実際には燃費はどうであれ、日本でこれだけ「エコカー減税」だの言われているご時世にしては、もはや時代に逆行するスポーツとは言えると思いますね。プリウスが35Km/lとか38Km/l…をカタログでうたう時代、F1はトヨタのブランドイメージには傷さえ付く可能性があるでしょう。
ただ、欧州メーカー、例えばフェラーリやルノーなどの老舗は、現在の新車の売れ行きとは関係なく、下手すれば国の威信に掛けてでさえF1をやっている側面と(何せ彼らはとてもプライドが高いので)、ちゅっとやそっとの社会変動(流行り廃り)では自らの行動や趣味趣向を変えないという崇高なポリシー、それに何より「レースバカ」「クルマバカ」「競走バカ」な本能があるので、なかなか辞めないのだと思います。
欧州は全般的に時間の流れがゆっくりで有るように私は感じます。
実際、ランボルギーニカウンタックや日産GTRなどは、航空機の離陸速度にも匹敵する加速や最高速を持つ車です。ただしそれらのクルマのキーを握れる人はごく僅かです。良くも悪くもそれほど「バカ」なのだからしょうがないですね(笑)。
私はトヨタみたいなメーカーがあって、フェラーリやランボルギーニみたいなメーカーもあって、面白いんじゃないかと思います。日本人は何でもかんでも「右向け右」が好きで、あれだけの走行性能を持つ富士重工がトヨタに買収され、エコカーを売り物にし、名車とも言える素晴らしい軽トラ「スバルサンバー」を無くそうとしています。いずれにしても極端すぎると思うのです。
さてさてご質問の答えですが、私は最近F1の結果すら見ていません。ただ日本に住んでいる以上、ホンダやトヨタの成果は嫌でも耳に入ってくる、その程度です。
私がフェラーリで一番好きなのは412ですが、F310もまあ好きです。それに比べると確かに最近のF1は格好悪すぎですね(笑)。特にホイールとか…。
最近のF1を私が見ないのが、昔は「名ドライバー」と呼ばれた「ニキ・ラウダ」とか「ネルソン・ピケ」というようなヒューマンファクターで勝負が決まっていたのが、(これは中島悟の時代から既に言われていたことですが)今はハードが勝敗のすべてを左右するからです。そしてハードを作るのはカネです。詰まるところ、カネのあるチームは強い、という図式ができていることです。
そしてカネのあるチームは、少し秀でたドライバーも獲得しやすいので、弱小は死ぬまで弱小、強豪は死ぬまで強豪、という「格差社会」にF1もなってきていると思うのです。
ハードも、昔は「鋳物の技術」「ノギスの精度」なんて言う可愛らしいレベルだったのが、今はかどっちさんが一番ご存じの通り、すべてはコンピュータで決まってしまいます。
私は本質的にはデジタルに疎いアナログ人間なので、そういう意味でも引いてしまいます。
長文失礼いたしました。
>ミスターSSSさん
鋭いコメント、ありがとうございました。
いつもながら、SSSさんのクルマへの知識の豊富さには頭が下がる思いです。
それにしてもトヨタ、新規参戦当時からイケてないクルマだなあと思っていましたが、やはりマインドからして違っていたわけですね。
いずれにしても、私にとってのF1は、すでに終わりつつあるというのだけは間違いないかも知れません。
SSSさんにとってはどうでしょうか?
う~ん、難しい問題ですね。BSやホンダはともかく、トヨタはいつか、割と早い時期にこういう決断をすると私は見ていました。
トヨタはモータースポーツには、極めて理解がないメーカーです。私は1980年代のル・マンや、スパの耐久レースのころからトヨタを見てきましたが、レギュレーション違反はするわ、飽きたらすぐに撤退するわ、で、モータースポーツでは国内外ともに評判の悪いメーカーでした。
そもそもホンダは金銭や知名度アップなど眼中になく(近年は変わってきているかも知れませんが)、内燃機関を使った勝負事で「勝つ」のが目標の、ある意味レースバカ、ある意味若い心を持ったメーカーだったのですが、トヨタは正反対です。
「カネになるからやる」、それがトヨタのすべてに関するポリシーです。だからレギュレーション違反を恥とも思わない。そしてかどっちさんがおっしゃるように、今やF1で名をとどろかせたところで、実車の販売アップには直結しづらい、というのは、トヨタが一番早く知ったところで、そこに景気悪化が加わったものですから、「まずは節約しやすいところから削った」というのがホンネでしょう。
トヨタは日本のモータースポーツや若いレーサーの将来のことなんて、これっぽっちも思いやる気持ちはないですし、むしろ情けなく負け逃げされたと見られるのが嫌で、「景気悪化」をタテにしたと考えた方が良いかもしれません。
実際、トヨタほどの財政的基盤が有れば、F1なんぞ、痛くも痒くもない事業です。例えばフェラーリの財政基盤に比べたら、トヨタは何百倍、いや何万倍かも知れません。ですので、本当にやれなくなったわけではなく、辞めるきっかけを探していたのでしょう。そうでなければラリーに専念したくなったとか。
その点、ホンダは会社が借金してでもF1を続けたかったというのがホンネではないでしょうか。内燃機関の「勝負師」と経済界の「勝負師」、両社の経営体質はまったく正反対です。
トヨタは相変わらず、ハードウエアでは世界一になたかも知れませんが、経営者の考える頭脳、つまりソフトウエアの方は、いい方を悪くすれば、「三河のケチな商人」の域を一歩も出ていません。そういうメーカーが、世界にとっての日本の「顔」であり、日本人はそういう目で見られていると言うことを、忘れずにいたいものです。