何かと話題になっている「ホワイトカラーエグゼンプション」ですが,
興味深い記事がありました。
残業代ゼロ 首相
「少子化対策にも必要」 [asahi.com]
労働時間規制は慎重検討 [47News:
共同通信]
どちらも同じ内容を扱ったものだと思いますが,ほぼ正反対の書き方をしています。前者の意見を読むと,
首相は末端の労働者が馬車馬のように休みなく働かされている現状を全く知らないのかとあきれてしまうのですが,後者を読むと,
慎重に検討してくれるのか,そうか,よかった・・。と思ってしまいます。この差はいったいどこから生まれてくるのやら・・。教訓としては,
「一つのメディアのいうことを鵜呑みにするな」ということでしょうか。
それはさておき,私はこの制度を思いついた財界の方々の発想には,強い懸念を感じざるを得ません。
空前の経常利益を上げる銀行業界が過去の赤字のために税を払わずにいるし,
巨大企業は数千億の利益を出しているにも関わらず法人税を下げて消費税を上げろと言いいます。彼らの言い分はとにかく「国際競争力」。
これにつきます。「これ以上給料を上げると国際競争で勝てない!」「世界的に見ても日本の法人税は高い!これでは国際競争で負ける」
「経済成長し続けることによって,格差問題は解消だ」などなど,まるで水戸黄門の印籠のように,「競争!勝利!」を掲げています。
でも,だれも「本当に成長って必要なの?」「競争って良いことなの?」と問う者がいないのが,いまの日本の社会の病理かなと思います。
何でもかんでも技術革新を進め,便利にすることが,本当に幸せにつながるのですか? 日本は経済成長や競争がないと滅びてしまうのですか。
政治家や,影響力のある財界人の誰も「現状維持でよい」と言い出さない今の世の中は,どこかおかしいのではないでしょうか。
いつか,
「あの王様,裸だよ」
と子どもから言われるような「王様」に,この国はなりつつあるのではないかと,危惧してやみません。
・・・
<補足>この記事で触れた「経済成長至上主義」については,1月1日付で経団連の御手洗会長が「希望の国,日本」
という政策提言をまとめて発表しています。つまり,財界は基本的にこの方向で動く,ということです。PDFで前文が読めるので,
以下からダウンロードしてぜひ読まれることをお勧めします。
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