去年公開されて大ヒットした宮崎駿作品「ハウルの動く城」をDVDで見た。
(このところ映画ネタが連続している気もするが,正月ということで・・)
ネタバレを極力避けつつあらすじを紹介するなら,魔法をかけられた普通の女の子と,魔法使いの男の子の恋の物語である。その周辺に,
反戦,義理人情,アニミズム,宮崎作品特有のニュートン力学を無視した乗り物等々が織り混ざって,何とも言えぬ映画に仕上がっている。
正直,ここまで既存のジャンルに当てはまらない映画は初めてだ。「エッ・・? ン・・?」と思っていたら,
最後までそのまま行ってしまったという感じである。全体のストーリーに筋は通っているのだが,要所要所に無理が見える。
主人公のハウルの正体は結局なんなのか分からなかったし,魔法学校の校長がなぜ戦争を終結する権力を持っているのか分からない。
反戦のメッセージはかいま見えるのだが今一中途半端で,ナウシカやラピュタほどの強い主張には至っていない。ハウルの城全体を動かしている
「あるモノ」も,やたらコミカルに描かれていて可愛らしいのだが,作品全体の中での位置づけがはっきりしない。
・・要するに,一言で言うなら「まとまりがない」という印象なのだ。思うに,この内容を2時間でやるのは無理があったと思う。上・中・
下の三部作にしてもいいのではないか。それくらいの内容はあると思うのだが。ちょっとAmazonで原作を調べたが,
ペーパーバック版で329ページもある。英語で329ページということは,日本語では500ページはあるということだ。それを2時間で・・
ねぇ。ちょっと無理でない?と思ってしまう。
また,よく分からないが,原作はどうもファンタジー物語のようだ。それならば,その路線で行って欲しい。どうも,宮崎氏が作ると,
みな日本的アニミスティックな雰囲気になってきてしまうように思う。実写とアニメで単純に比べるのはどうかとおもうが,やはりLord
of the Ringsシリーズは純然たるファンタジー臭さを感じたのに,である。ハウルが欧米であまりウケなかった理由も,
そこら辺にあるのではないか。
個人的に,最近のジブリの二作品はどうも一貫性があまり感じられないように思う。見てまぁ面白かった,だが記憶には残らない。
そういう作品になってしまっている。
次回作に期待である。
コメント