昨日のことだが、レンタル屋さんからSTAR WARS EPISODEIIIのDVDを借りてきて鑑賞した。
もはや説明は不要と思うが、おなじみシリーズの新三部作の完結編である(ストーリー展開上は3作目にあたる)。
本作の中心は、何と言ってもアナキン・スカイウォーカーがいかにしてダース・ベイダーになるのかということである。実際、
主役のヘイデン・クリスチャンセン(アナキン役)の表情が時を追うごとに変わっていく様子が見物である。しかし、オビ=ワン・
ケノービの演技も光るし、パドメの悲哀に満ちた表情も臨場感を盛り上げる。
CGについては、もはや文句の付けようがない。よくもまぁ、ここまでやるもんだと思う。
CGシーンが全体の95%くらいじゃないかという気がする。それくらいCGが多い。しかし、あまりにもリアルなために、逆に
「これは現実ではない」という印象を強く持ってしまうという皮肉がある。
また、本作のテーマが陰鬱なものであるから仕方がないのだが、旧三部作のような人間味があまり感じられない。
登場人物がどこか表面的である。「失敗してもCGで直せるからいいや」という軽さを感じてしまう。
アナキンがシディアス卿に寝返るシーンなどは、その最たる例である。かつての同僚を裏切り死に追いやってしまう彼だが、
「俺はなんてことをしてしまったんだ!」と後悔した、その直後に「忠誠を誓います!」と言い放つ。その間、10秒程度である。
あまりにも変わり身が早く、「やらせ」っぽさがにじみ出てしまっている。ここはシリーズ中最大の転換点とも言える場面なのだから、
より念入りに心理描写を行ってほしかった。
一度見終わってから、監督やスタッフの解説音声でもう一度見たのだが、やれ「ここは何ヶ月も苦労した」とか、
「背景の船の動きをリアルにするのが大変だった」とか、そういう話ばかり。そんなところを見てもらいたいのだろうか。
そうではないはずである。いみじくも、ルーカス監督自身が「スター・ウォーズシリーズのサブタイトルは『ダース・ベイダーの悲劇』なんだよ」
と語っていたのだが、そうであれば、もっと彼の心の動きを描写してもらいたい。
視野の片隅に映る点にしか見えない船の動きにうつつを抜かしている暇はないと思うのだが・・。
・・・・
ここまでずいぶんと辛口のことを書いたが、私は個人的には本作には満足している。さすがに3年以上かけただけのことはある。ただ
「名作」ではないと思う。正直にいえば、「おぉ、スゲエ! なんてリアルなんだ!」という印象が第一である。その印象は非常に鮮烈である。・
・が、どこかスタッフの自己満足的な雰囲気を感じてしまう。「すごいでしょ、見て見て!」という感じである。
最近の映画は、「CG凝りまくりリアルさ徹底追求派」と、「純愛ピュアハート路線」の二方向に収斂してきている気がする。その中で、
いかに「人間」と取り組むか。これからが見物である。
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