忙しかった週もようやく一区切り付き、好きな映画を見る時間が作れました。 今回見たのは「イングロリアス・バスターズ」です。
始まり方は、ブラッド・ピットのおふざけっぽい演技に載せられて「この映画、コメディタッチのライトな映画かな?」と思ったのですが…どっこい。
相当に重い映画でした。これ。ナチス占領下のフランスが舞台で、そこにユダヤ人虐殺に携わる親衛隊の将校が登場。彼が劇中ずっとキーマンとなるわけです。ポーカーフェイスと残忍さの表裏一体性は、底なしの人間の罪の現実をまざまざと見せつけるもの。恐ろしい。
背中に冷たい汗が流れるような場面も多々あり。ただ、ずっとそうだとまた逆に疲れるのですが、この映画は緩急のテンポが非常にうまくできているため、そういうことがありませんでした。
いわゆる「戦闘シーンを忠実に再現する系」の映画(たとえばプラトーン、プライベート・ライアン、バンド・オブ・ブラザーズ)とは一線を画す映画です。それでありながら、それらの映画が描ききれなかった、「現実の生活の中の戦争」というものを、この映画は絶妙に描き出すことに成功しています。その点で、非常に注目すべき映画だと思います。
もちろん、目を背けたくなるような場面が無いわけではありません。しかしこの映画は、そういう場面は殆ど無いのに、それでも、戦争の恐ろしさを訴えてくる力をもっています。ぜひご覧頂きたいと思います。
ちなみに、私が最も疑問に思うのは、どうしてこの映画がアカデミー作品賞をとれないで、あの「ハート・ロッカー」が獲ったのか、ということです。
ハート・ロッカーは、正直なところ、「時流に乗った映画」でしかありません。はっきり言って、記憶に残る映画とはとても言えない映画だと思います。確かにスリリングではあるのですが、その点で言えば、この「イングロリアス・バスターズ」の方が数段上です。
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ついでに一言。
もう一本、見た映画があります。それは「第9地区」という映画。ほとんど何の期待もしないで見たのですが、いや~、やられました。この映画はすごい。まず脚本がすばらしいの一言。そして映像効果、テンポなど、どれをとっても飽きません。有名俳優がひとりも登場しなくても、これだけの映画が撮れるんだ、というお手本のような映画。アクション、SF系の映画が好きな男性の方にお薦めの一本です。
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