新ローマ法王に望むこと

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少し古いネタだが、新しいローマ法王が選ばれた。ドイツ人のラツィンガー氏で、78歳だそうだ。報道を見ていて面白いなと思ったのは
「教義的には超保守派」という表現。どうやら妊娠中絶や同性婚、司祭の婚姻などを認めないことがその理由のようだ。
司祭の結婚禁止は聖書的に見て根拠が薄い(カトリックはそういう「んんー?」的な教義が非常に多い)が、
前の二点を禁じることは聖書信仰に立つ福音派のクリスチャンとしては極めて自然な事である。そういう意味では、
彼が選ばれたことはこれからのカトリック教界全体にとって良いことと言える。実際、世界的に見ても歓迎する向きが強いようだ。

カトリック教会は全世界の教会がローマ法王の下に中央集権的ヒエラルキーを構成している点で、
プロテスタント教会とは全く異なるわけだが、先にも述べたように、教義的な違いの方が、プロテスタント側からはなかなか受け入れにくい。
例えば「マリヤ礼拝」や、7つの「秘蹟」、「聖人」の制度、教会の中にちりばめられるそうした聖人の「像」などである。

しかし、プロテスタント教会が見習わなければならないところもある。例えば、先のイラク戦争への対応。
プロテスタント側がイラク戦の是非を巡ってまっぷたつに割れたのに比べ、カトリック教会は一貫して戦争反対を貫いていた。図らずも、
世界平和を希求する姿勢においては、カトリック教会の方が先んじていることが明らかになった、と言わなければならない。先の法王のヨハネ・
パウロ2世がポーランド人で被侵略を経験したということもあるのだろう。新法王のラツィンガー氏は、強制とはいえヒトラー・
ユーゲントに入隊していた経歴も持つ。氏には是非とも先の法王の平和路線を継承していただくことを切に望む。
一部のプロテスタント教会が見失っている平和への原点を、示してもらいたいのである。