映画評 「アバター」

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今日はオフの日ということもあり、ビデオでも見ようかとTSUTAYAに行ってみたところ、なんと「アバター」って、もう出ていたんですね! 3D映画ということで、映画館で見たいと思いつつも、幼児を抱えた家庭ではそうもいかず、DVDが出たら見ようと決めていました。162分と非常に長い映画ですが、私はもともと長い映画が大好きなので期待しつつ、娘が寝たあと、早速鑑賞しました。

・・結論から言えば「いやぁこの映画、大いに楽しめるでないの!」でした(笑)。

期待して観たわけですが、期待を裏切らない出来。これぞ映画の王道、これぞスペクタクル、これぞキャメロン作品! そういう映画で、私としては10点満点に近い印象でした。久々に見終えて深い満足感を覚えた映画でした。

ちょっとほめ過ぎじゃないかと思う人もおられるかも知れません。確かに鑑賞後、早速ネットで他の人の評価を見てみると、べた褒めこき下ろしにほぼ二分されている印象を受けます。べた褒めの方は概ね私のような文章で、こきおろしの主なものは「宮崎駿作品に似すぎ!」「設定に現実感がなかったり矛盾がある!」「メッセージが単純すぎ!」「3Dが見づらい!」の四点に集約されるようでした。

確かに、こき下ろしている方の気持ちも分からないではありません。けれども、4番目の3Dの見え方についてはともかくとしても、1~3番目については、正直な所、「どの映画でも多かれ少なかれそういうの、あるでしょ?」というのが私の思いです。

私は映画というものに何を期待しているのかといえば、そればズバリ「非日常」です。映画というのは、平坦な日常生活の中に、それとはかけ離れた世界をいっとき味わわせてくれることに意義があるのではないでしょうか。ですから私は現実的すぎる映画、設定が余りにも自分の日常に合致しすぎている映画は、見ようとは思いません。それなら、公園にでも行って遊んだ方がよほど楽しめます。

要するに、映画というのは「ディズニーランドに行く」ようなものではないでしょうか。ディズニーランドは、日常生活とはかけ離れた世界をリアルに体験させてくれるからこそあれだけ人が集まるのであって、もしディズニーランドの中にゴミ収集車だとかコンビニがあれば、誰もが幻滅するでしょう。あるいは、ネズミやアヒルの中に人が入っているのを知っていてもワクワクする。これがもし、本物の大ネズミにしかみえないものが歩いていたら、女性客は悲鳴を上げることでしょう。つまり、設定に無理がある、それが分かっているからこそ、人は安心して楽しめるのです。

アバターは、そういう安心感を持って家族で楽しむことができる映画です。しかもそのメッセージ性は一直線で単純であり、決して多くを語ろうとはしません。そこにまた好感が持てます。上のこき下ろしの評価の中には宮埼作品を模倣しすぎというものがありましたが、私は最近の宮埼作品(ハウル以後)は、あまりにもメッセージ性を重視しすぎてかえって分からなくなり、楽しめなくなっていると思っていますから、私はむしろ「アバター」こそ、最近の宮埼作品が忘れている「良さ」を体現しているとさえ思うのです。

そもそも、2時間や3時間という時間で、多くのポイントを入れすぎると、理解不能になります。相当頭が働く人でなければついていけません。せいぜい1つか2つくらいが妥当だと思います。その点、アバターは愚直なまでに一つのメッセージを最初から最後まで握り続けています。そこに好感が持てるのです。

映像の美しさ、息をのむアクション、分かりやすいストーリーライン、ヒーローとヒロインへの感情移入のしやすさ、そしてラストの爽快感。

これから「アバター」をご覧になる方は、以上のような所を注目してご覧になったらよろしいのではないかと思います。少なくとも、私にとっては「え、なんでこれがオスカー取れなかったの?」と思わざるを得ない、良い映画でした。

p.s. この映画を押さえてオスカーを取った「ハート・ロッカー」も、なかなか面白そうな映画です。ぜひとも観てみたいものです。

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