アメリカという国は、良くも悪くも世界中から注目されている国であることは、誰もが認めるかと思いますが、以下のような面白い記事がありました。
アメリカ人の人が自分の国について書いた英語の記事を翻訳したものらしいですのですが、いかんせん翻訳が少々読みづらい部分があります。読んだ印象としては、前半部分は「まぁそうかも」と思わせるものですが、後半は「??」という印象。それでいて「~の真実」と題を付けるあたり、どうなのかと思います。 ただ、普段からテレビやハリウッド映画などアメリカの良い面ばかりを強調しがちなメディアにしか接していない方には、「こういう見方もあるのだ」という意味でも、読んでおいて損はないかと思います。
私が個人的に一番、最近のアメリカという国について疑問を感じるのは、医療制度改革を巡る国を二分するかと思われるほどの非難合戦についてです。私たち日本人は「国民皆保険制度」によって、「大多数の人が多くても3割負担、高額医療は最大9万円程度までしか払わなくて良い」という生活をしており、それが当たり前だと思って生きていますが、アメリカでは全くそうではありません。泣けるほど高い医療費、非常に高い保険加入のハードルによって、20%程度の人が無保険状態。命も金次第という世界です。私たち日本人には想像もできない世界ではないでしょうか。
それにもかかわらず、オバマ大統領が国民皆保険制度を創設しようとすると、共和党支持者から「売国奴」呼ばわりされるという状態。下院の議決では、民主党内からも造反者が出て、やっとのことで先日可決されましたが、共和党支持者は腹の虫が治まらないようです。私たちに日本人の目からすれば、「ようやくまともになった」と言うようなレベルのことで、なぜそんなに争うのか、理解できない思いがするのではないでしょうか。もちろん、ここに至るには「大きな政府」vs「小さな政府」という、アメリカ政治史の長い背景があるわけですが、それを差し引いても、非アメリカ人には理解できない光景でしょう。
そして、私が個人的に最も不思議に思うのは、キリスト教右派を主要な支持母体とする共和党が、どうして最大多数の最大幸福たる国民皆保険制度に反対するのか、という点です。キリスト者であるなら、弱い立場の人々に寄り添い、自らも犠牲を払うのは当然のことであるはず。ところが、彼らにはそのような発想は微塵もないようです。共和党支持者のデモ隊からは「連中(低所得の病者)は自業自得だ!」といった、信じがたいフレーズまで飛び出しているのです。クリスチャンどころか、穏健な普通の人々からでさえ、出てこないような言葉ではないでしょうか。
ここにも、私はアメリカという国のキリスト教のもつ、聖書の真理から外れたあり方を垣間見るわけです。彼らは一体何を信じているのか、と思うのです。上記のような信じがたいシュプレヒコールを挙げる人々の中にクリスチャンがいるとすれば、そういう人々は、キリスト教という宗教を信じているだけで、キリストの教えを信じて実行しようという気は毛頭無い、としか、私には思えないのです。このような姿勢が、もはやキリスト教の本質とは変容した「アメリカ教」とでも言うべき新しい宗教を創りだしているようにさえ、私には思えるのです。
心配しすぎでしょうか? あながちそうとも思えない今日この頃です。むしろ私たちは、メディアが伝える「アメリカンドリーム」だけではなく、負の部分もしっかりと知っていかなければならない。そういう思いを新たにしたのが今日の記事でした。
ちなみに、アメリカの医療保険制度については、Newsweekが自虐的に皮肉った非常に面白い記事を載せていますので、ぜひお読みになって下さい。(爆笑するかも知れませんし、目が点になるかも知れません)。
アメリカの医療保険制度は最高だ! [ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト]
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